「練習前にストレッチはしているけれど、それで十分?」「遅れて到着すると、そのまま練習に入ってしまう」「アップを頑張りすぎて、本練習の前に疲れている」
お子さまの練習前の過ごし方について、気になることはありませんか。
ウォーミングアップは、これから行う運動に向けて、身体の動きや強度を段階的に近づけていく準備です。柔軟性を確認することに加えて、実際に身体を動かし、競技に必要な動作へつなげていくことが大切です。
今回は、成長期の選手が練習前に意識したい準備の流れを紹介します。
ウォーミングアップは、練習に向けて段階をつくる時間です
学校の授業や移動で長く座っていたあとに、いきなり全力で走ったり、強くボールを投げたりしていませんか。
練習前は、軽い運動から始め、身体を動かす範囲や速さを少しずつ上げていきましょう。最後に、その日の練習で使う動作を軽い強度で確認すると、本練習へつなげやすくなります。
ウォーミングアップには、ケガ予防につながる可能性もあります。子どものサッカーを対象とした研究では、バランスや筋力、身体のコントロールなどを組み合わせた決められたプログラムを継続したグループで、通常のアップを行ったグループよりケガが少なかったと報告されています[1][2]。
ただし、どのようなアップでも同じ効果が得られるわけではありません。研究で検証されたプログラムと、本記事の一般的な準備例は区別して考える必要があります。
ストレッチは、ウォーミングアップの一部分です
筋肉を伸ばした姿勢で止まる「静的ストレッチ」と、身体を動かしながら行う「動的ストレッチ」。どちらも耳にしたことがあるかもしれません。
ここで気をつけたいのは、「運動前の静的ストレッチはすべて悪い」「動的ストレッチなら必ずパフォーマンスが上がる」と単純に決めないことです。
男性チームスポーツ選手を対象とした研究では、軽い運動と段階的な競技動作を含むウォーミングアップの中で、短時間の静的・動的ストレッチの有無による走力やジャンプなどの成績の違いは認められませんでした[3]。
大切なのは、ストレッチの種類だけに注目せず、前後にどのような運動を組み合わせるかです。痛むほど伸ばしたり、長く伸ばすことだけで準備を終えたりせず、その後に身体を動かす段階を設けましょう。
練習前は、3つの段階で考えてみましょう
次に紹介するのは、痛みのない選手に向けた準備の例です。時間や回数は目安であり、年齢、競技、その日の体調に合わせて調整してください。チームで決められたアップがある場合は、指導者と相談して取り入れましょう。
1.軽い運動で身体を動かし始める
最初は歩く、軽く走るなど、余裕をもってできる運動から始めます。目安は2〜3分程度。息が大きく上がる速さではなく、会話できるくらいから進めましょう。
この段階で、足を引きずっていないか、いつもと違う痛みがないかも確認します。
2.使う関節を、無理のない範囲で動かす
足首をゆっくり動かす、膝や股関節を軽く曲げ伸ばしする、腕や肩を小さく回すなど、競技で使う部分を動かします。
初めから大きく動かそうとせず、小さな範囲から始めてください。一つの動きにつき5回程度を入口に、痛みなく滑らかに動かせるかを見ていきます。
勢いをつけて可動範囲を広げたり、友達に押してもらったりする必要はありません。
3.競技の動きに少しずつ近づける
最後は、その日の練習で必要になる動きを軽い強度で行います。
サッカーなら短いパスや軽いドリブル、野球なら近い距離での軽いキャッチボール、バスケットボールなら歩く速さでのドリブルなどです。
身体の反応を確認しながら、少しずつ速さや距離を上げます。最初の1本から全力で行わず、「軽く動く段階」と「練習に近い動きをする段階」をつくることがポイントです。
全体で10〜15分程度を一つの目安にできますが、時間だけで準備完了と判断しないようにしましょう。
準備ができたかは、汗の量だけで決めないでください
「汗をかいたから、もう大丈夫」と考えることがありますが、汗の量は気温や個人差にも左右されます。
本練習へ入る前に、次のような点も確認してみてください。
- 軽い動作で痛みが出ていないか
- いつもと比べて動きにくい部分がないか
- 競技の動きを軽い強度で行えているか
- アップだけで息が切れすぎたり、疲れたりしていないか
動きにくさがあるからといって、強く伸ばすことを繰り返す必要はありません。痛みや違和感がある場合は、指導者へ伝えて内容を調整しましょう。
遅刻した日や、試合の待ち時間にも注意しましょう
練習に遅れて到着すると、「早く合流しなければ」と焦ることがあります。それでも、準備を飛ばして全力のメニューへ入ることは避けたいところです。
遅れた場合は、指導者に声をかけて、軽い運動から段階を踏んで合流できるようにしましょう。
また、アップ後に長い待ち時間があった場合も、すぐに全力で動くのではなく、許可された場所で軽く身体を動かしてから競技へ戻る流れを考えます。
保護者の方は、「早く入りなさい」だけでなく、「準備してから入れるか、先生やコーチに聞いてみよう」と声をかけてみてください。
痛みがあるときは、アップでごまかさないことが大切です
「動いているうちに痛みが減ったから、そのまま練習する」という判断には注意が必要です。一時的に楽になっても、負担をかけてよい状態とは限りません。
膝、かかと、すね、腰などに痛みがあるときは、その動きを中止し、保護者や指導者へ伝えましょう。痛みを確かめるために、何度も走ったり跳んだりする必要はありません。
歩くと痛い、腫れている、繰り返し同じ場所が痛む、休んでも改善しない場合は、整形外科へ相談してください。体重をかけられないほどの痛みがある場合は、速やかに受診しましょう。
ケガからの復帰中は、医師から許可された範囲で準備を進めます。
スクオスジムでのサポート
浜松市のジュニアアスリート専門スクオスジムでは、お子さまの身体の状態や競技、普段の練習内容に合わせて、トレーニングや身体のケアをご提案しています。
練習前の準備も、一人ひとりで必要な内容は異なります。身体評価や競技動作のチェックを通して、動かしにくい部分や、無理のある準備になっていないかを確認します。
ケガ予防の研究では、複数の運動を組み合わせたプログラムを、継続して取り組むことが検証されています。その日だけ念入りに行うのではなく、毎回取り組める準備の習慣をつくっていきましょう。
「いつものアップで合っているか知りたい」「練習の最初に痛みや動きにくさがある」と感じている方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
[1]Soligard T, Myklebust G, Steffen K, et al. Comprehensive warm-up programme to prevent injuries in young female footballers: cluster randomised controlled trial. BMJ(2008;337:a2469) https://www.bmj.com/content/337/bmj.a2469
[2]Rössler R, Junge A, Bizzini M, et al. A Multinational Cluster Randomised Controlled Trial to Assess the Efficacy of ’11+ Kids’: A Warm-Up Programme to Prevent Injuries in Children’s Football. Sports Medicine(2018;48(6):1493–1504) https://doi.org/10.1007/s40279-017-0834-8
[3]Blazevich AJ, Gill ND, Kvorning T, et al. No Effect of Muscle Stretching within a Full, Dynamic Warm-up on Athletic Performance. Medicine & Science in Sports & Exercise(2018;50(6):1258–1266) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29300214/
※一般的な情報です。個別の診断・治療や復帰判断に代わるものではありません。参考文献確認日:2026年10月24日。