「歩き始めると、脚の付け根が痛い」「以前より靴下が履きにくくなった」「股関節が硬いので、もっとストレッチしたほうがよい?」
こうした変化が続く場合、単なる柔軟性の低下だけでなく、股関節の状態を確認することが大切です。
今回は、変形性股関節症の基本と、今日から取り入れられる生活の工夫をご紹介します。
変形性股関節症とは?
股関節は、骨盤側のくぼみに太ももの骨の丸い先端がはまり、体重を支えながら脚を動かす関節です。
変形性股関節症では、関節軟骨の傷みや関節の変形などに伴い、痛みや動かしにくさが生じます。脚の付け根の痛み、歩きにくさに加え、靴下を履く、足の爪を切るといった動作が難しくなる場合があります[1]。
加齢だけでなく、骨盤側の受け皿が浅い「寛骨臼形成不全」など、関節の形が関わることもあります。「運動不足だけが原因」「自分の使い方が悪かった」と決めつける必要はありません。
脚の付け根の痛みを、自己判断しないために
股関節周辺の痛みには、変形性股関節症以外の原因もあります。痛む場所や年齢だけで、病名を判断することはできません。
整形外科では、痛みの経過や関節の動きなどを確認し、必要に応じて画像検査を行います。
「靴下に手が届きにくくなった」「歩くと脚をかばうようになった」など、生活上の変化も伝えましょう。痛みが続いている場合は、ストレッチだけで様子を見続けず、原因を確認することが大切です。
今日からできること① 靴下や靴は、道具も使って楽に
靴下を履くたびに、痛みを我慢して足を引き寄せたり、無理に脚を開いたりしていませんか。
着替えるときは、まず安定した椅子に座りましょう。足元へ手を伸ばす動作がつらければ、靴下を履くための補助具「ソックスエイド」や、長い靴べらなどを活用する方法もあります[5]。
道具を使うことは、動くことを諦めるという意味ではありません。毎日の困りごとを減らすための選択肢です。使い方や自分に合う道具は、医療機関のリハビリ担当者などに相談できます。
今日からできること② 座る場所と、立ち仕事を見直す
低い椅子や深く沈み込むソファでは、股関節が大きく曲がり、立ち上がるときにも負担を感じることがあります[3]。
座面が安定し、低すぎない椅子を選んでみましょう。足が床につき、無理なく立ち座りできる高さを目安にします。不安定に重ねたクッションなどで、無理に高さを調整することは避けてください。
台所仕事がつらい場合は、下ごしらえの一部を座って行う、作業の間に短い休憩を入れるといった方法もあります。
すべての動作を禁止するのではなく、痛みが増えやすい場面を一つずつ調整してみましょう。
今日からできること③ 痛みを我慢して開脚しない
動かしにくさがあると、「硬い部分を強く伸ばせばよい」と考えがちです。しかし、変形性股関節症の対応では、柔軟性だけでなく、関節の状態や筋力、歩行時の負担も考える必要があります。
変形性関節症では、一人ひとりに合った筋力運動や有酸素運動が推奨されています[2]。運動は痛みや生活機能の改善に役立つ可能性がありますが、内容や量は状態に合わせて選びます。
まずは医師や理学療法士に、取り組める運動を確認しましょう。例えば、無理のない歩行や水中での運動などが選択肢になりますが、痛みが強い場合には、先に治療や負担の調整が必要なこともあります[4]。
開脚や深くしゃがむ動作を、痛みを我慢して繰り返す必要はありません。運動後も痛みの増加が続く、翌日の歩行が普段よりつらい場合は、量や方法を見直してください。
杖や手術の相談は、生活を守るための選択肢
歩くたびに脚をかばう場合は、杖などの歩行補助具が役立つことがあります。自己流で使うより、長さや使い方を医療機関で確認すると安心です。
また、運動や薬などで十分な改善が得られず、生活への支障が大きい場合には、手術を検討することもあります[1][2]。関節の形や軟骨の状態によって、選択肢や相談すべき時期は異なります。
「どれだけ歩けるか」だけでなく、「眠れるか」「仕事や買い物を続けられるか」も、担当医に伝えましょう。
こんなときは医療機関へ
次の場合は、無理に歩いたりストレッチしたりせず、直ちに救急外来などへ相談してください[3]。
- 転倒やけがの後から、股関節が強く痛む
- 歩けない、脚に体重をかけられない
- けがの後から、脚の感覚が鈍い、しびれる
また、けがをしていないのに突然強く痛み始めた、股関節周辺が腫れて熱を持つ、発熱や強い体調不良を伴う場合は、当日中を目安に医療機関へ相談しましょう。
痛みが日常生活や睡眠に影響する、悪化や再発を繰り返す、2週間ほどたっても改善しない場合も、早めの受診が必要です。生活への支障が大きければ、2週間待つ必要はありません。
整体院モチベイトでのサポート
浜松市の整体院モチベイトでは、股関節の動く範囲や歩き方、立ち座り、日常生活で困っている動作などを確認し、状態に合わせた施術やセルフケアをご提案します。
施術によって骨の変形を元に戻したり、傷んだ軟骨を再生させたりすることはできません。また、手技だけで変形性股関節症に対応できるという根拠は十分ではなく、運動などと組み合わせて考えることが大切です[2]。
医療機関での診断や治療を大切にし、必要に応じて受診をご案内します。通院中の方は、診断内容や運動についての指示をお聞かせください。
「靴下や靴の着脱がつらい」「日常生活の負担を見直したい」という方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
[1]公益社団法人 日本整形外科学会. 整形外科シリーズ10「変形性股関節症」(2024年12月) https://www.joa.or.jp/public/pdf/joa_010.pdf
[2]National Institute for Health and Care Excellence(NICE). Osteoarthritis in over 16s: diagnosis and management (NG226)(2022年) https://www.nice.org.uk/guidance/ng226/chapter/recommendations
[3]National Health Service(NHS). Hip pain in adults(2025年レビュー) https://www.nhs.uk/symptoms/hip-pain/
[4]The Robert Jones and Agnes Hunt Orthopaedic Hospital NHS Foundation Trust. Hip Osteoarthritis(2024年レビュー) https://www.rjah.nhs.uk/our-services/therapy/supported-self-care/hip-osteoarthritis/
[5]Wiltshire Health and Care. My Osteoarthritis Plan https://wiltshirehealthandcare.nhs.uk/wp-content/uploads/sites/8/2022/04/WHCDec2018OAhipknee-1.pdf
※整体は医療行為ではありません。体の感じ方には個人差があります。一般的な情報であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。参考文献確認日:2026年10月24日。