「ジャンプしたあと、着地でぐらついている」「膝が内側に入っているように見える」「高く跳ぶ練習はしているけれど、着地までは見ていなかった」
バスケットボールやバレーボール、サッカーなどでは、跳ぶ動作に加えて、その後の着地も繰り返します。
高さやボールへの到達だけに注目しがちですが、地面に戻ったときに身体を支えることも大切です。
今回は、成長期の選手と保護者に向けて、着地で確認したいポイントと、無理なく始められる練習例を紹介します。
着地は、身体の勢いを受け止める動作です
ジャンプから着地するときには、足が地面に触れるだけでなく、身体が落下する勢いを受け止める必要があります。
その際、膝を伸ばして固めるのではなく、股関節や膝、足首を使って受け止めることが、着地練習の基本になります[1]。
膝のケガの一つである前十字靱帯(ACL)損傷は、人との接触がなくても、着地や急な方向転換などで起こることがあります[4]。ただし、着地時の膝の痛みがすべてACL損傷というわけではありません。
家庭では、3つのポイントを見てみましょう
最初から細かな角度を測る必要はありません。まずは、低いジャンプで次の点を確認します。
1.膝だけでなく、股関節も使えているか
着地で脚を突っ張らず、お尻を少し後ろへ引きながら股関節と膝を曲げます。深くしゃがむことが目的ではなく、無理なく身体を受け止められる範囲を探しましょう。
2.膝が大きく内側へ崩れていないか
膝と足先がおおむね同じ方向を向いているかを見ます。膝だけを無理に外へ押し出すのではなく、身体全体で安定して支えられることを大切にしてください。
3.着地したあとに止まれるか
身体が左右へ大きく流れたり、何歩も踏み直したりせず、姿勢を保てるかを確認します。
「ふわっと着地して、そこで止まろう」といった短い声かけから始めてみましょう。着地音を小さくする意識も手がかりになりますが、音が小さいだけで安全と判断できるわけではありません。
低い動きから、段階的に練習しましょう
以下は、痛みのない選手に向けた家庭での導入例です。回数や秒数は始め方の目安であり、この内容だけでケガ予防効果が確認されているものではありません。
周囲に物がなく、滑りにくい平らな場所で、運動に適した靴を履いて行います。軽く身体を動かしてから始め、疲れが強い日は追加しないようにしましょう。
1.跳ばずに、受け止める姿勢をつくる
足を腰幅程度に開き、股関節と膝をゆっくり曲げます。浅い範囲で止まり、左右へ大きく傾かずに支えられるかを確認してください。
まずは3〜5回程度。膝や腰に痛みが出る場合は中止します。
2.小さく跳んで、両足で止まる
最初の動きが無理なくできたら、その場でごく小さく跳び、両足で着地します。着地後は2〜3秒ほど止まり、姿勢を確認してから次へ進みます。
まずは3回程度で休みます。高く跳ぶことや連続回数を競わず、毎回落ち着いて受け止められることを目指しましょう。
3.安定してから、競技の動きへ進む
低い両足着地が安定しても、すぐに高い台や片脚着地へ進む必要はありません。ボールを扱う、移動してから着地するなど、複雑な条件を加える際は指導者やトレーナーと相談しましょう。
特に、ケガや手術からの復帰中は、主治医や担当者の許可を受けた内容に沿って進めてください。
スマートフォンの動画は、練習の手がかりに
保護者が少し離れた安全な場所から、正面や横方向の動画を撮ると、本人が動きを振り返りやすくなります。
「さっきより止まりやすかった?」「どちらに身体が流れた?」と、一緒に確認してみてください。一度に多くのことを直そうとせず、声かけは一つに絞ると取り組みやすくなります。
ただし、動画の見た目だけで、将来のケガを予測することはできません。女子のエリートサッカー・ハンドボール選手を対象とした研究でも、台から降りて跳ぶテストだけでは、ACL損傷を起こす選手を十分に見分けられませんでした[3]。
家庭での動画確認は、診断や「ケガをしない保証」ではなく、動きを学ぶために活用しましょう。
着地だけを直せば、膝のケガを防げるわけではありません
膝のケガ予防では、着地の練習に加え、下半身や体幹の筋力、バランス、競技での動作などを組み合わせて考える必要があります。
12〜17歳の女子サッカー選手を対象とした研究では、体幹の安定性、バランス、膝の位置のコントロールなどを含む運動プログラムを継続したグループで、ACL損傷の発生率が低かったと報告されています[2]。
これは複数の運動を組み合わせた結果であり、「着地練習だけで防げる」「すべての膝のケガが減る」と示したものではありません。
部活動やクラブですでに多く跳んでいる選手は、家庭練習を増やしすぎないことも大切です。着地が乱れてきたら回数を重ねず、休むか、跳ばない段階へ戻しましょう。
着地で膝を痛めたときの受診の目安
着地の瞬間に膝をひねった、膝が抜けるように感じた、音や衝撃とともに痛みが出た場合は、その場で運動を中止してください。
特に、次のような場合は早めに整形外科へ相談しましょう[4]。
- 受傷後に膝が腫れてきた
- 歩くと痛い、体重をかけにくい
- 膝がぐらつく、抜けるように感じる
- 膝を十分に伸ばせない、曲げられない
痛みが軽くなっても、不安定さが残る場合は自己判断で競技へ戻らないようにしてください。「もう一度跳べるか」と試す必要もありません。強い痛みや変形がある、体重をかけられない場合は、速やかに受診しましょう。
スクオスジムでのサポート
浜松市のジュニアアスリート専門スクオスジムでは、お子さまの身体の状態や競技、練習量を伺い、身体評価と競技動作のチェックを行っています。
着地で気になる動きがある場合も、膝の位置だけに注目せず、股関節や足首の動き、下半身の筋力、身体を支える動作などを合わせて確認します。
「ジャンプしたあとにぐらつく」「膝のケガを繰り返している」「どの段階から練習すればよいか知りたい」といったお悩みもご相談ください。痛みや腫れがある場合は、医療機関での確認をご案内します。
高く跳ぶ力とともに、着地で身体を支える力も育てていきましょう。
参考文献
[1]Hospital for Special Surgery(HSS). ACL Injury Prevention Tips and Exercises(2023年更新) https://www.hss.edu/health-library/conditions-and-treatments/acl-injury-prevention-stay-off-sidelines
[2]Waldén M, Atroshi I, Magnusson H, Wagner P, Hägglund M. Prevention of acute knee injuries in adolescent female football players: cluster randomised controlled trial. BMJ(2012;344:e3042) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22556050/
[3]Krosshaug T, Steffen K, Kristianslund E, et al. The Vertical Drop Jump Is a Poor Screening Test for ACL Injuries in Female Elite Soccer and Handball Players: A Prospective Cohort Study of 710 Athletes. The American Journal of Sports Medicine(2016) https://doi.org/10.1177/0363546515625048
[4]American Academy of Orthopaedic Surgeons(AAOS)OrthoInfo. Anterior Cruciate Ligament (ACL) Injuries https://www.orthoinfo.org/diseases–conditions/anterior-cruciate-ligament-acl-injuries/
※一般的な情報です。個別の診断・治療や復帰判断に代わるものではありません。参考文献確認日:2026年10月24日。